2020.2.15 ふくいユネスコフォーラム/2019
テーマ:福井のSDGs(持続可能な開発目標)の取り組み
去る2月15日、福井テレビ大会議室で行われた「ふくいユネスコフォーラム」は、約100名の参加者を前に、光野会長のあいさつで始まった。
先ず、鯖江市JK課より、初年度から5年半の取り組みについて、4期生の女子高校生スタッフの説明があった。当初、鯖江市牧野市長を頭に2高校の生徒達が、「よし、まちを変えよう!!」と立ち上がり、「楽しいことをやろう!」というテーマを設ける。大人では考えのつかないほんとに楽しいプランや取り組み、また、失敗や苦労話も交えながら話し始めた。
〇JK課オリジナルスイーツ開発
〇伝統料理「山うに」を使った商品開発をロ-ソンと共同で開発
〇国際めがね展への参画
〇農業女子(農家さんと一緒に農産物づくり)体験
〇東京大学で学生を前に45分の講義
〇ゴミ拾い「ピカピカプラン」
〇スポーツ庁鈴木大地長官と対談
〇全国高校生まちづくりサミット2019 参加
数えきれないほどの取り組みと成果だ。そして、彼女らの活動が多方面から注目され、ニュースにもなり、また受賞も多々ありと、楽しく実り多い活動であったが、苦労や失敗、バッシングも色々あったことを話す。
これまで活動してきたことにより見えてきたことは、JK課女子が、今までの大人達の意識を変えた。
大人達が考え方と活動に感動し協力をするようになってきた。
「若ものが動けば、大人が変わる。大人が変われば、まちが変わる!」
◎基調講演
「創造的で持続可能な、ゆるいコミュニケーションのすすめ」
と題して(株)NEWYOUTH代表取締役、慶應義塾大学特任准教授、福井大学客員准教授の若新雄純氏の講演があった。
まず、SDGs(持続可能な・・・)を正しく説明できる人はいないだろう。手に触れないものなのでよくわからないとも。ようするに表題のゆるいコミュニケーションの研究が、SDGsとも関わってくる。「答えはない!」という前置きがあった。
試行錯誤(試みと失敗、発見)を繰り返しながら、見通しを立てて策や方法を見出していく。これにはゴールもなく成功も失敗もない。しいて言うなら、やり続けることが成功といえるのではないか。JK課のスタッフと、楽しく愉快な結果を求めない“ゆるいまちづくり”をやっていることは、まさしくSDGsそのもの。答えを求める時代に生きてきた人は、答えがない世界で生きている人に教えられないので、「あえて教えないことにしよう」と。ゆるいながらも経験することでしっかりとした自覚をもつことになる。
◎実践事例発表
(ユネスコスクール2校)
①小浜市内海小学校6年生のESDカレンダーの作成により、進めてきたふるさと学習「地域とのつながりで学んだこと」をテーマにスライドで説明をしながら発表があった。
②勝山市の村岡小学校6年生の「ミチノクフクジュソウ保全運動の取り組み」として、クイズ形式で会場の参加者に問いかけながら、絶滅危惧種保全のための環境整備や種まきなど、生徒たちの熱心な活動状況の発表があった。
(地域での取り組み2団体)
①越前市の「水辺と生き物を守る農家と市民の会」の野村みゆき氏による「コウノトリと共生する地域社会をめざして」と題して発表があった。白山・坂口地区に生息しているコウノトリやアベサンショウウオをはじめとした希少動物を保護するための保全再生活動の現状や苦労談を聞く。「守りたい」という我々と同じような思いで取り組んでいる世界各国の人たちとの国際交流にも繋いでいきたいという大きな夢を持つ。
②敦賀市の「中池見ねっと」の上野山雅子氏による「中池見環境保全活動の現状と課題」をテーマに中池見湿地に生息している動植物の多さと保全再生活動の事例を上げながら発表があった。人の手が入らないと守れない「二次的自然」、この湿地の長年放置されたことによる荒野と化した様子と保全活動により蘇った事例説明を受けた。市民・町民のマンパワーと保全基金確保の重要性についても話された。
以上、私達ふくいユネスコ協会の会員にとってもまさに活きた話しばかりで、気の引き締まる思いで聞いた。基調講演いただいた若新氏と素晴らしい取り組みと事例発表いただいたユネスコスクール2校と2団体にあらためて感謝の思いでいっぱいだ。
記:東 隆代